抜歯を回避する治療

多くの歯科医院では、次のような症例を治療する際、抜歯を行います。

・ひどい虫歯で崩壊してしまった歯
・重度に進んだ歯周病で、グラグラしている歯
・歯の根の先端に膿がたまり、根管治療ができない症例
・歯茎の中で割れてしまった歯

歯を抜いたら、通常はインプラントや入れ歯の治療に進みます。しかし、これらは患者さんの負担が大きな治療となります。症例によっては抜歯が最善の治療法となることもありますが、患者さんのその後の長い人生を考えると、やはり抜歯は「最後の手段」であるべきです。

人生100年といわれる時代を迎えようとしています。長い人生を健康で豊かに過ごすためには、歯を守ることが重要です。だからこそ、当院は歯を抜かずに治療することを第一に考えます。以下、当院の「抜歯を避ける治療法」をご紹介します。
※これから紹介する治療法は、すべての症例に適応できるものではありません。症状によっては、抜歯が最善の選択となる場合もあります。

虫歯が進行して歯が崩壊してしまうと、一般的には抜歯をします。虫歯の部分を削って被せ物を装着するのが一般的な虫歯治療の手順となりますが、ここまで崩壊してしまった歯は、被せ物を装着する部分が残っていないからです。
しかし、ここまで進んだ虫歯であっても、当院では「エクストリュージョン」という治療法で、抜歯せずに治せることがあります。「エクストリュージョン」は矯正治療のひとつで、歯茎に埋もれた歯の根の外側に引き出します。歯茎から歯の根が1〜2mm出てくれば、ここに被せ物を装着できるようになります。

重度の歯周病では、歯を支える骨が溶かされて歯がグラグラしてきます。この段階になると、抜歯を選択する歯科医師もいるでしょう。そうでなくても、時間の問題で歯は自然に抜けて落ちてしまうかもしれません。

だからといって、あきらめるのは早計です。支えとなる骨を再生し、歯を安定させることができれば、歯を抜かずに治療することができます。

当院は、「歯周組織再生療法」という治療法で、歯を支える骨を再生することに取り組みます。

「エムドゲイン」は、骨の再生を促進する特殊なたんぱく質を含んだ薬品です。骨が失われた部分にエムドゲインを塗布すると、個人差はありますが、およそ数ヶ月から1年ほどで骨が再生します。

次の動画をご覧ください。エムドゲインが骨を再生させる様子がよくわかります。

歯周病を治療し、歯石や汚れを取り除くと、失われた骨や歯肉は徐々に再生します。あまり知られていませんが、実は骨も自力で再生できます。しかし、ほとんどの場合、ただ待っていても骨が再生することはありません。骨よりも早く歯肉が再生するため、本来骨が再生するべき場所を歯肉が埋め尽くし、骨が再生する場所がなくなってしまうからです。
この問題を解決し、骨を再生させる治療法が「GTR法」です。骨が再生するべき場所を「メンブレン」という人工膜で覆って保護することで、歯肉に邪魔されずに骨が再生します。必要に応じて「エムドゲイン」などの薬剤を併用することで、さらに効果的に治療できます。

80歳になったとき、日本人には何本の歯が残っているか知っていますか？

平成の初めの頃の調査では、平均して10本もありませんでした。それが令和4年の調査では、16本を超えるところまで増えています。
しかし、健康に美味しく食事をするためには20本の歯が必要というデータもあり、16本でもまだじゅうぶんとはいえません。
人生100年時代を迎えるにあたり、もっと歯を残す努力が必要です。

かつては歯を抜くしかなかったような症例についても、抜かずに治療できる技術は開発されています。

しかし、このページで紹介している治療法は、どこの歯科医院でも広く受けられるというものではありません。

現在通われている歯科医院で歯を抜くことになったら、歯を残す方法はないのか、しっかり確かめることをお勧めします。
もしかすると、歯を抜かずに治すという選択肢があるかもしれません。

当院は、セカンドオピニオンも受け付けています。

どうぞお気軽にご相談ください。