抜いてそのままでいいんでしょうか?

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抜いてそのままでいいんでしょうか?

2010年5月9日

ご相談内容 : 今治療中の歯の件でご相談します。
左の下の一番奥の歯茎の外側から昨年10月初旬にうみみたいなものが出て歯医者に行ったところ「神経をぬいてある歯で化膿しています。」と言われました。
しばらく様子を診ていましたが少し噛むとずきずきするくらいで先生も抜く方法を勧めていましたが
なるべく自分の歯を残したいと言う気持ちがあり先生も「決心したら抜きましょう。」と言ってくれましたのでそのままにして(仮歯)にしておきましたが12月にまた痛くなってしまい治療しました。
その時は、治ったのですが、また今日歯茎の外側がもりあがってきました。
自分の気持ちも抜く方向ですがそのあと、先生は入歯とかは、しなくて抜いてそのままでいい。と言われました。
左の上の一番奥の歯もそんなに長くはもたない歯で良くない歯だから。との理由でした。
私が考えるには、抜いてそのままだと歯が少しづつすきっ歯になるような感じがするのですが、先生は大丈夫だと言います。
抜いてそのままでいいんでしょうか?
埼玉県 : 35 : 女 : 会社員


ご相談のメールありがとうございます。
>抜いてそのままだと歯が少しづつすきっ歯になるような感じがするのですが、
そのとおりです。
お年寄りの方のお口を参考にしてみてください。
奥歯に異常があれば、全ての歯は異常に動いてしまいますので、すきまだけでなく前歯が出てしまったり、残りの歯が異常に早く使えなくなったりと、いろいろ困ったことになることが少なくありません。
しかし、ご心配ありません。奥歯を削ったり、抜いたりした瞬間から全ての歯は動き始めていますが、全く見えないほどのまだほんのわずかずつです。
そういったことに気づいたり、困るのはずっと後のことです。
では、何故そうなるか説明しましょう。
歯は全体で助け合っています。
特に奥歯は強い力で支えています。奥歯の内でも、大きい2本の歯で左右上下に合計8本ある大きい奥歯はとても重要です。
家でたとえれば大黒柱です。
食べるためだけではなく強い力を出して他の歯だけでなく、身体の脊椎や脳を守っています。
大黒柱を削ってしまったり、ましてや抜いてしまった後に家はどうなるでしょうか?
その時は、家全体がちょっときしんだかな、くらいで済んでしまうでしょう。
でもその内に、見えないけれど徐々に家にはひずみがきて、窓や戸が閉まらなくなったり開かなくなったりするかもしれません。
毎年地震や台風で揺すられると、健全な家よりも早く傾いたりするかもしれません。
何十年もすれば最後にどさっと全部倒れるかもしれません。
現在のご年配の方が亡くなるときにはほとんど総入れ歯になっています。
背中も曲がっています。
難聴が増え、痴呆も増えています。若さも急激に失い、老けていきます。身体の重い病気も増えています。
それは口と関係が深いことが判っています。
健康の要とも言うべき重要な大黒柱を失えばなにが起きても不思議ではないのです。
その方たちも初めに奥歯を失ったときには予想できなかったかもしれません。
でも普通は大黒柱の無い家は無事だと思うほうが危ないとは考えられませんか?
奥歯で硬いものを噛まないように気をつけるから私は大丈夫と言う方が少なくありません。
実は食事のときの歯にかかる力はそんなに大きくはありません。
食べていないときに、上下の歯同士が直接当たるときの力は非常に大きくなります。
では、唾を飲むの時に上下の歯が当たったり、寝ているときに思い切りくいしばったり、歯軋りをする反射運動を止められるでしょうか?奥歯にはその人の体重と同じくらいの力がかかります。
大黒柱が無くなったからと言って、家を毎日使わないで暮らせるでしょうか?
口は一日も休み無く、とてつもない力で歯を使い続けます。
したがって将来のことを思うのであれば、その対策は必要になります。
目先のことであればすぐには心配ありません。
もし抜歯をするならば、あとの治療方法の選択としては以下が全てです。
それぞれの欠点を上回る利点が手に入ると思えれば、治療方法のひとつを選ぶことになります。
1.放置しておく
2.入歯
3.ブリッジ
4.インプラント
5.将来始まる、歯の再生治療を待つ
あまり長く迷っていると、1番を選んだことになります。
それぞれの一長一短については、当院のHPに詳しく書いておきましたのでご参照ください。
また、歯の治療を選ぶときに基本的な重要事項を覚えておいてください。
決して元通りにはならない、欠点のない治療はない、ことです。
また、いつでも歯の治療の目的と治療が分かれ道として待っています。
ご自分で選択して後悔しないようにしましょう。
目的
ⅰ 虫歯の穴、の後始末という、病気の治療だけが目的 (早い・簡単・お任せで楽・安いが、病気や治療のくりかえしは、仕方がないと妥協する)
ⅱ 痛みを止めたり、穴を埋めることと同時に、一生歯を残すためとか、気持ちを含めた心身全体の健康のために治療する、ということがむしろより大きな目的 (嫌なことはもう一生終わりにできたほうがうれしい しかし大変)
ⅰ であれば、極端に言えばどんな治療でも良いのです。
どうせ、削り、神経や歯を抜くことをまた一生繰り返すのだし、回りの中高年の方たちのようにだんだん歯が無くなり、いずれ入れ歯になると諦めれば早くて、簡単で楽です。
ⅱ であれば、簡単な治療に見えてもたった一度の治療で取り返しがつきません。一つとしておろそかにできませんから、一生歯や心身全体の健康を残す原則を懸命に守り続けなければなりません。
その大切な原則は、たった二つです。
[一生歯を残す原則]
[口だけでなく、心身全体の健康を守る原則]
Ⅰ.削らない
Ⅱ.(その歯の神経や、口全体で一本も奥歯を) 抜かない
しかし、これを一生守りきることは大変難しく、特に皆様がお一人で努力しても全く効果がありません。
総入れ歯の方たちも、一生懸命歯を磨いて、従来の歯科検診を受け、治療にも通っていらっしゃったのですから・・。
このようなごくごく基本的なことは常識なのです。
もしⅱを目標とする場合は、我々もとても大変で必死です。
まずその虫歯が穴になっているかどうか、できるだけ削らずに進行を止められないかどうかを調べます。
どうしても削らなければならない場合は、できるだけ小さく削り、つまり健康な部分を削り過ぎないように注意しながら治療することになります。
その場合も、ご希望があれば画期的な予防診療をして、虫歯の穴をできるだけ小さく縮めてから詰めます。
間に合えば全く「削らない」この予防診療で治せます。
そうすれば、歯の量をできるだけ「削らず」にすみます。
健康な部分が多く残れば、それだけ一生の間、やり直しが少なくなりますので、回数もできるだけ「削らない」ですみます。
一見、同じ治療をしているように皆様の眼には写り区別は難しいと思いますが、その結果が正反対になるように、初めから目標と治療内容は全く違うといっていいのです。
しかし、両方とも一長一短ですから、今のお気持ちでご自由に選んでください。
もちろんあとで気が変わってもいいのです。
国際ビル歯科 相良俊男
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早速お返事をくださいましてありがとうございました。
とても参考になりました。
またよろしくお願いいたします。
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