ご相談内容
32歳の主婦です。三年ほど前に歯茎年齢が50代~60代といわれ、ブラッシングで歯周病と戦っています。でも、昨年子供を出産し、また歯茎が下がり、口も中もなかなかすっきりしません。今月、定期検査に行くと、悪いところで、三分の1しか歯茎に埋まっていないといわれました。神経質なくらいブラッシングをしているのに、ただただ歯茎が下がっていく現実を見るのが辛いです。見た目も歯に隙間ができたり、歯が長くなって、気になり、笑うことすら嫌になります。まだ、歯が残っているので、大切にしたいのですが、歯茎の復活、歯並びの矯正をして、歯周病に勝っていく事は可能なのでしょうか?普通の歯医者さんではひたすらブラッシング指導のみ。他の治療法については何も言われません。何かアドバイスをお願いします。
愛知県 女性 30代 主婦
ご相談のメールありがとうございます。
歯磨きはとても大切ですが治療のほんの一部にしか過ぎません。
もし歯を残したいならば正しい治療をしなければなりません。
もともと歯周病の治療は結果を出すには長期的に続けなければなりませんし、決して簡単ではありません。歯科医院はその専門家ですから、できる限りのお手伝いができます。ご担当の先生に正直に何でも相談されることを勧めます。
そしてまず、どんな場合でも正しい治療計画を立ててきちんと進めなければなりません。
治療の手順は、お悩みについての問診、診察、歯周病の基礎知識と治療方法の説明、検査、今の状態と将来の見通しの説明、治療計画の詳しい説明とその実施のための具体的な相談、原因除去療法と続きます。
その後は又、説明・検査・治療計画の立て直し・原因除去療法というセットを一生繰り返します。
説明の内容は一度に全部は無理ですから、初歩からだんだん上級へと一人ひとりに合わせて進めていきます。
毎回、詳しい記録を専用のカルテに記入します。
一回は1時間以上かかります。
ブラッシングは原因除去療法のなかのとても重要なひとつです。
しかし、本当に効果を挙げるにはどうしても治療回数や期間が必要ですが、初めはなかなか磨けない人が多いものです。
そういう場合は歯科医院でその状況にあったクリーニングをしてお手伝いしますから心配ありません。
歯磨きの腕前はお口を毎回染め出して実習をくり返します。毎回半分づつくらいに%が落ちていって、だんだんレベルが上がっていきますが、磨き残しの%がまず全体の20%を切ることが、最低条件です。
磨き残しの場所は歯と歯茎の境目・とくにはと歯の間です。歯の表面の目立つところはカウントしません。
できれば磨き残しが4・5%、たまには0%のパーフェクトがあってもいいくらいに上達するとさらに良いでしょう。
ただ、一人ひとり違うし、同じ人でも一生状況は同じではないので、人生の節目などで特別の配慮が必要です。子供や思春期の時代、大人の時代、高齢期の時代にはそれぞれ難しいことが起きますので、一人ひとりにあった治療計画が必要になり本当の治療とはとても難しいのです。
いくら頑張っても一人で歯磨きしていては危険です。必ず定期的に計画的な検査と指導を受けましょう。
また治るとはどういうことかを知る必要があります。
歯科医療の治癒をまず考えなければいけません。
一般的に病気の治癒には二通りあります。
1.たとえば、風邪を引いたり、指に擦り傷を作った場合は、元通り完全に治ります。
バンドエイドを貼ったりして自分だけで治すこともできます。
2.たとえば、指を切り落として失った場合は、傷口の血が止まり皮が張って完全にふさがりバイ菌が入らなくなり、炎症が止まれば、治ったといいます。
必要なら義手を作ります。指を包丁で切り落とした場合は条件が揃っていれば縫い付けてまた使えるようになりますが、傷口は瘢痕になりますし、長さや方向などの見た目と機能や感覚は能力が落ちてしまいます。
歯科治療とは虫歯でも歯周病でも、決して1.にはなりません。治ったといっても2.なのです。
決して元通りにはなりません。
骨は前の位置までは戻りません。
それどころが健康な状態よりも、再発しやすい弱さを抱えて一生過ごさなければなりません。
しかも、心身まで犯されてしまうのです。
ですから、当院では予防診療に力を入れてお勧めしています。
一生削らず、抜かずにすむ予防診療は自然の健康状態を残せるので完璧に治ったとも言えるのです。
国際ビル歯科 相良俊男