歯の完全再生に成功〈2002.10.31掲載〉
小豚の歯をラットに植え付け フォーサイス研究チーム
日本歯科新聞 1299号 10月29日より
フォーサイス研究所のドミニック・D・デパロマ博士ら研究チームが、小豚の歯の一部を培養、ラットに植え付け、歯の完全な再生に成功。
10月発行のアメリカ歯科医学雑誌(JDR)に論文を発表した。
生後6ヵ月の小豚から採取した歯胚組織より得られた細胞をラットに植え付け、30週後以内に歯冠の形成を認めたもの。
このようにして得られた再生歯には、象牙質、象牙芽細胞、歯髄組織などが含まれているが、さらにエナメル質の構造を含む完全なもので、これまで開発された歯の再生技術のなかでは最先端の研究。
この研究結果は歯の幹細胞の存在を示唆するものであり、歯の再生技術の進歩に大きく貢献されるものと期待されている。
すでに日本の上田実氏(名古屋大学大学院医学研究科)らによる歯の再生術が報告されるとともに、名古屋大学付属病院で実際に「再生外来」がスタートしているが、この技術ではエナメル質を含む完全な歯を再生させることができなかった。
また、形態、大きさをコントロールする技術は確立されておらず、臨床応用には時間がかかるものと思われるが、今回、完全な歯の再生技術が成功したことで、「再生歯科医療」は新たな段階を迎えたことになる。